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住宅街を彼女が歩く。足取りは軽い。

 

オレンジの日差しが遠くから僕たちを照らしている。


彼女が歩いたの後の1mを目で追う。

そこの空間だけ、重力が半分になっているような気がした。

しかし僕は、しっかりと地球の重力で歩く。僕の世界では、重力は一定なのだ。
コンバースのキャンバス生地が茶色くなってきたな。

彼女は、道路の白線を踏んだり踏まなかったり。踏むならしっかり踏めばいいのに。

「あ、あ、あんぱんまーん やーさしい きっみっさっ

 いっけ みんなのゆーめ まーもるったーめー」

「それ、歌詞合ってるの?」

「合ってるよ。知らない?アンパンマンの歌。」

誰もが知っているアンパンマンの歌。

「知ってるよ。誰でも知ってる。」

「アンパンマンてさ、自分の頭をちぎって他人に食べさせるんだよね。」

「いや、食べさせるっていうか、助けてるんだとおもうけど。」

「えー、ちがうよ。ただのナルシストなあんぱんだよ。」

「でもみんな好きだよね?子供は特に。」

「そうやってナルシストなヒーロー像を植え付けてるなんて、あーこわいこわい。」

​そんな深くないとおもうけどな。。

 

いや、でも、、

「あ、あ、あんぱんまーん やーさしい きっみっさっ

 いっけ みんなのゆーめ まーもるったーめー」

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